Amon | INFOHUB-media https://dev.infohub.jp/media 国内・海外のビジネス・テクノロジーニュース・事例をお届け Mon, 19 Oct 2020 07:11:33 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.7.12 https://dev-wp.infohub.jp/wp-content/uploads/2020/10/cropped-icon_logoA_2-32x32.png Amon | INFOHUB-media https://dev.infohub.jp/media 32 32 【マーケティング入門】ポジショニングとは?活用方法と4つの注意点を徹底解説 https://dev.infohub.jp/media/2020/10/20/3177/ https://dev.infohub.jp/media/2020/10/20/3177/#respond Mon, 19 Oct 2020 23:00:00 +0000 https://infohub.jp/?p=3177 マーケティング・ポジショニングで目指しているのは、顧客に「この商品は他とは違う」と認知し購...

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マーケティング・ポジショニングで目指しているのは、顧客に「この商品は他とは違う」と認知し購入してもらうことです。そのために、自社商品のユニークなポジションを分析していきます。

自社のブランドのイメージを顧客に浸透させたい、競合とぶつかって成長曲線が鈍化した、このようなときに再定義したいマーケティング・ポジショニング。

本記事では、他社との関係の中で、自社の価値をどのように置けばいいのか、というポジショニングの方法論を、ポジションマップの作り方、成功事例を含めて網羅的にまとめています。

この記事のまとめ

マーケティング・ポジショニングとは、自社商品のユニークなポジションを確立して、そのイメージを顧客に認知させることです。

この分析には、ポジショニングマップ(パーセプションマップ)を活用します。これは、購買決定要因(KBF)を軸にした2軸のチャートを作り自社と競合との関係をマップ化したものです。

ビジネスのポジショニングは、一朝一夕で構築できるものではありません。マーケティング戦略全体で分析・調査を積み重ねて、ポジショニングを確立していく必要があります。

本記事では、ポジションマップの作り方からポイント、事例までひとつひとつ解説していきます。それでは、マーケティングにおけるポジショニングの定義からみていきましょう。

マーケティングのポジショニングとは?

マーケティングポジショニングとは、製品やサービスにおいて他社にはない独自のポジションを確立して、そのブランドイメージを顧客に浸透させることを指します。 例えば、

  • 安くて早い食事を提供してくれるマクドナルド
  • ステータスシンボルであるAudiやメルセデスベンツ
  • ユーザフレンドリーな製品を提供するAppleやマイクロソフト
  • 高級品質のコーヒーと非日常的な空間を提供するスターバックス

このような有名ブランドについては、名前を聞けば、誰でもどんな価値を提供してくれるのかが思い浮かびますよね。成功している会社は、ポジショニングが定義されブランディングを徹底しているため、顧客にどんな価値を提供しているのかを誰でも知っています。

マーケティング戦略では、定義した自社のポジションを実際にどうやって顧客に認知させるか、というところまでを含めて、「ポジショニング」としています。

顧客が他社の製品でなく自社のものを手に取ってもらうために、顧客の頭の中に自社のブランドや製品のイメージを確立するプロセスこそがこのマーケティングポジショニングです。

ポジショニングの重要性

上の例のように、よいポジショニング戦略をとることができれば、どんなに競争の激しい業界でも、シェアをとり安定した売れ行きや収益性を得られることが知られています。

アメリカの経営学者でマーケティング論の権威、フィリップ・コトラーは、1994年にSTP分析というマーケティング戦略の基本的なフレームワークを提唱しました。

このSTP分析は、「セグメンテーション(Segmentation)」「ターゲティング(Targeting)」「ポジショニング(Positioning)」の頭文字を示しており、現代のマーケティング戦略を考える際に、一番利用されている分析方法の一つです。

STP分析では、市場の細分化 (=「セグメンテーション」)、顧客の選定(=「ターゲティング」)を経て、狙っていく市場・顧客層を絞り込みます。この次に続くのが、ポジショニングで、どのような価値を提供して競合と差別化を図るのかを定義することになります。

その業界の中でのビジネスのポジショニングは、一朝一夕で構築できるものではありません。

このポジショニングで定義した、自社の提供価値やポジションは、そのまま次のステップである、4P分析や4C分析などのマーケティングミックスに使われ、最終的には、その製品設計や広告戦略、その他プロモーションなどに広く影響していきます。

マーケティング戦略全体を通して、細かい分析と地道なコミットメントを積み重ね、時間をかけてポジショニングを確立していくことになります。

ポジショニングマップ(パーセプションマップ)の作り方

ここでは、4ステップでポジショニングマップ(パーセプションマップ)を作る方法論を公開します。

ポジショニングマップとは、商品やサービスの提供価値を、縦軸と横軸に設定して、自社と競合他社を一目で比べられるような4象限のマトリクス図として表現したものです。

ポジショニングマップの完成度を高めることで、自社のポジションを明確に定義できるようになります。

STEP1:マップの軸となる購買決定要因(KBF)をブレスト

まず、ポジショニングマップの縦軸と横軸にするパラメータである購買決定要因(KBF)をブレインストーミングして、網羅的にあぶり出します。

購買決定要因(KBF)とは、「Key Buying Factor」の略で、顧客が商品・サービスの購買を決定する際に参考にする要因のことです。以下、具体例です。

  1. 金銭的軸 :安い、高い
  2. 機能的軸 :簡単、早い、複雑
  3. 感情的軸 :楽しい、爽快
  4. 精神的軸 :革新的、自由
  5. 外見的軸 :かっこいい、モダン、スタイリッシュ
  6. ステータス的軸 :権威性、希少性

顧客は、自社と他社の商品を見比べたときに、何の要素を決め手にして購入するでしょうか?これらを抜けもれなく列挙することで、商品・サービスのニーズをあらゆる角度から分析します。

STEP2:自社のターゲットがどのKBFを重視しているかを選定する

ここでは、ターゲットとする顧客が、先ほど列挙したKBFのうち、どの要素を重視しているのかを考えます。会社のひとりよがりなイメージで誤ったKBFを導かなようにするため、ターゲットの調査・分析が欠かせません。

顧客目線に立ち、実際に購買するときに検討するであろう要素を客観的なデータや調査に基づいて選定する必要があります。ここで選定したKBFが、「ポジショニングマップの縦軸と横軸」の候補になっていきます。

STEP3:選定したKBFを競合と比較する

そのKBFを評価対象として、自社と他社の商品・サービスを比較していきましょう。

例えば、「A社を1とするなら、B社は5」といったように相対的な点数でも構わないので、価値を点数化し、これを表にまとめると効果的です。この点数は、「ポジショニングマップ上の座標」になります。

ターゲットが重視する項目が決まったら、企業ごとに点数を付けていく

STEP4:軸を決定し、4象限で表現してみる

実際にポジションをマッピングしてみます。軸を変えてマッピングするとマップの形相が大きく変わるはずです。どの軸を設定すれば、競合とポジションがかぶらないでしょうか。そのポジションが競合にもないユニークな価値だといえます。

KBFを用いたポジショニングマップを生成して、競合との差異を発見する
上記KBFに関する競合比較表で、「ターゲットが重視する項目」が5になっているものを、実際に表に落とし込んだ

ターゲットが重視している軸を優先して軸を決めるべきですが、もしよい軸の組み合わせがなければ、

  • 見落としているKBF(軸)はないか
  • ターゲットが競合と完全に重なっていないか
  • そもそも自社の商品・サービスがありきたりになっていないか

このようなことを再度検討しましょう。場合によっては、マーケティング戦略を根本から見直す必要が出てくることもあります。

このマッピングによって自社の商品・サービスのポジションを、他社との比較の中で視覚的に表現することができます。このマップを洗練させることで、自社の商品・サービスに求められている価値を定義します。

ポジショニングマップ作成の注意点

「顧客視点」を持ち合わせること

「顧客は自社製品をこうやって考えるに違いない」、失敗するビジネスではこのような主観的な認識に強いバイアスがかかり、顧客の認識とのギャップが生じていることがほとんどです。

例えば、すこし前のモバイルPCでは、「CPU速度=大きな購買決定要因」でした。しかし、近年では、高価なPCを買わなくとも、十分に高速なCPUを搭載したPCが手に入るようになり、顧客は「CPU速度」よりも「バッテリーの持ち(消費電力)」を重視するユーザーが増えています。

  • 顧客の実際の購買データ
  • 市場や競合の分析
  • 顧客のアンケート

などの定量・定性データに基づいて、顧客のニーズやウォンツを徹底的に分析し、購買行動の急速な変化に置いていかれないように、「顧客視点」をマップに反映させるようにしましょう。

ターゲットについて深く理解し、軸の「重み」を考える

ターゲットとする顧客が、自社と他社の商品のどちらを購入しようか迷っているときに最終的に何を基準に優れていると判断して購入するのでしょうか。こういったKBFの選定には、時間をかけて深く理解すべきです。

また、KBFの中には、例えば、その要素が少し変わるとターゲットの購買行動が大きく変わるなどの支配因子が含まれていることがあります。逆に、全く優先度の低いKBFもいくらでも挙げることができてしまいます。

そういった、軸の選択にも優先度があることを考慮に入れて、軸自体にも点数をつけて「重み」づけするようにしましょう。

相関の高い軸はマッピングに採用しないこと

よく、「価格」「品質」を軸にとる人がいますが、「価格が高いと品質が高い」とった相関の関係を持った2軸でプロットすると、すべての商品・サービスが右肩上がりの直線上にのってしまいます。これでは、「価格」や「品質」を1軸にとったときと実質的にポジションは変わらず、2軸の意味がなくなってしまいます。

せっかく多次元の軸をとってポジショニングを定義するのですから、相関の高い軸は避けるようにしましょう。

常に変化し続ける市場環境では、定期的に検証することが重要

どのマーケティング戦略にもいえることですが、戦略は必要に応じて市場変化に適応できるように変えていかなければなりません。数年前の業界地図が数年後には過去のものになっている時代です。

自社のおかれている環境や、市場・消費者の変化、社会的な変化などがあれば、その都度、定期的に以下の項目を検証するようにしましょう。

  • 競合と今でも差別化できているか
  • ユーザーのニーズや価値観に変化はないか
  • 顧客のニーズが本当にあるのか
  • 市場ボリュームを把握できているか
  • 市場の一般的なKBF(購買決定要因)は何か
  • 自社製品をどのように認識してもらうか

ポジショニングを成功させるコツ

顧客視点と企業視点の両方を活用する

まったく他社にない技術を持っている、それは素晴らしい独自性です。しかし、「我々にしか作れない技術力」といった、企業側のユニークな価値だけを軸にとってしまうと、市場の共感性を失い顧客が離れていってしまいます。

常にこの2つは頭に入れて、企業視点だけではなく、必ず顧客視点が関わってくる軸も設定するようにしましょう。

企業理念やポリシーとポジショニングに整合性があるか

企業理念やポリシーは、言うなれば、企業自体のポジショニングです。企業と商品のポジショニングに矛盾があると、企業と商品両方のブランドに傷かついてしまいます。基本的には、企業理念やポリシーとポジショニングは、整合性を持たせるようにしましょう。

マーケティング・プロセスの一環として用いると効果的

先ほども少し触れましたが、ポジショニングはマーケティングプロセスの一環として用いられることが多いです。

マーケティング・プロセスとは、マーケティング戦略を立案してから実行するまでの一連の流れのことを指します。

主に、5つのプロセスに分けられます。

マーケティング戦略は、環境分析から戦略の修正までが重要
  1. マーケティングのマクロ環境分析(PEST分析)
  2. ミクロ環境分析(3C分析とSWOT分析)
  3. マーケティング基本戦略(STP分析:セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
  4. マーケティングミックス(4P分析・4C分析)
  5. マーケティング戦略の実行・評価(戦略実行・評価⇄戦略の修正・再実行)

顧客や市場を定義しないと、ポジショニングは決まりません。そのため、まずはこのプロセスにしたがって市場・顧客の「分析」「絞り込み」をして、セグメンテーションや、ターゲットが定義できてからポジショニングを考えます。

また、ポジショニングは、次に続くマーケティングミックスと密接に関わってきます。マーケティングミックスは、企業が立案した戦略を、商品企画や広告、営業などの実際の行動にスムーズに落とし込むプロセスです。

マーケティング戦略全体を通して、細かい分析と地道なコミットメントを積み重ね、時間をかけてポジショニングを確立します。

マーケティングの戦略策定のプロセスに関する詳細な解説については、以下の記事をご覧ください。

マーケティング施策は戦略的なプロセスによって生み出されます。正しいマーケティングプロセスを行うことで「自社の課題をクリア」にし「その課題を乗り越えるマーケティング施策」ができます。現在、新型コロナウイルスの影響でビジネスの在り方が変化しています。変化の時代だからこそ、BtoBをはじめとした企業はオンラインを活用したセールスなどマーケティングプロセスの見直しをしています。本稿ではマーケティング初心者向けにマーケティングプロセスを紹介しています。本稿を読むことで「正しい戦略的なマーケティングプロセス...
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ポジショニングの3つの事例を紹介

ポジショニングの事例を3つ紹介します。

コーラ戦争

コカコーラは、ご存知の通り最も歴史の長い飲料業界のリーディングカンパニーで、当時から世界的にブランドが浸透していました。

そこでペプシは、コカコーラの歴史と伝統を逆手に取って、若い世代にターゲットを絞ることにしました。マイケル・ジャクソンなどの超有名アーティストを広告に起用する戦略をとることで、「最先端」「革新的」「若さ」などのブランドを訴求したのです。

80年代から90年代にかけて、コカコーラとペプシの間で広告での宣伝が過熱しました。

その結果、ペプシの「若い世代向けの新しいコーラ」というポジショニング戦略が成功し、一時ペプシが市場シェア首位を獲得するという現象がおきました。コーラ戦争と呼ばれている有名な事例です。

ファストファッション

時代の影響を強く受けやすい、ファッションの業界ですが、それぞれの企業で印象がわかれ、細かく棲み分けがされています。

デザイン性では、ZARAとH&Mがトレンドによってデザインが決まっているトレンドファッションと呼ばれるポジションをとります。価格帯が異なり、H&Mの方が比較的ユーザー層が若い傾向にあります。

ユニクロは、安価で、トレンドに大きく依存しないベーシックなデザインです。シンプルで、多くのファッションとも合わせやすいと広く認知されているため、老若男女幅広い層から支持されています。

シーブリーズ

資生堂が展開するシーブリーズは、ポジショニングを大きく転換(リポジショニング)したことで売上を8倍に伸ばした商品ブランドです。

1902年にアメリカで誕生し、1970年代より日本でも資生堂が展開していたシーブリーズですが、20~30代の男性をターゲットに、「海」「夏」を意識させるブランディングを実施して1980年代に大ヒットを記録しました。

しかし、ブランドが高齢化するとともに、海にいく人が減り、日焼けを避けるというニーズが広まるに連れて、時代遅れのブランドとなって低迷したのです。

そこで資生堂は、ターゲットを10代に変えて、日常シーンでの使用を訴求することにしました。このように、築き上げたポジショニングを見直し、競合と別の戦略をとるリ・ポジショニングが功を奏し、現在まで学生に広く認知され大ヒットを収めています。

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ペルソナとは?マーケティングに活かす際の3つの注意点や事例を解説 https://dev.infohub.jp/media/2020/09/18/3025/ https://dev.infohub.jp/media/2020/09/18/3025/#respond Fri, 18 Sep 2020 04:52:57 +0000 https://infohub.jp/?p=3025 「ペルソナ」という用語をご存知ですか。昨今、マーケター、デザイナー、ライター、営業、開発、...

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「ペルソナ」という用語をご存知ですか。昨今、マーケター、デザイナー、ライター、営業、開発、などあらゆる人が、ペルソナを活用しているため、耳にしたことがある方は多いかと思います。

自社のプロダクトが伸び悩んだヒット商品を企画したい、そんなときに力を発揮するペルソナマーケティング。

この記事では、そもそもペルソナとはなんなのか、ペルソナ設定の注意点、その成功事例などを幅広く紹介し、どのような情報に基づいてペルソナ設定を行うべきか、その実践的な手法を惜しみなく解説します。

この記事のまとめ

ペルソナ (Persona)を設定するとは、ターゲットとする顧客のプロフィールや属性情報をもとに、理想のモデル顧客を擬人化することをいいます。

ペルソナを設定することで、

  1. ユーザー視点に立った商品を
  2. チーム同士で共通認識を持って
  3. ユーザー・消費者から共感を得る開発ができます。

ニーズが多様化した現代において、むやみにペルソナを設定すると逆効果です。ペルソナをひとり設定することで、ターゲットを絞りすぎたり、共感性を失ったりして、結果的に顧客を失うことになりかねないからです。

そうならないために、ここでは

  • 定性的・定量的なデータから導く最適なペルソナ
  • メディアのコンテンツにおけるペルソナ
  • プロダクトにおけるペルソナ

このようなペルソナを構築する方法をまとめています。

ペルソナとは?

ペルソナ (Persona)とは、理想のユーザー像のことを指すマーケティングの用語です。

1983年に元マイクロソフト (microsoft)の有名なソフトウェアエンジニアのアラン・クーパー (Alan Cooper)氏が提唱した概念で、元々はPCが家庭に広まる黎明期に「誰でも使いやすいソフトウェアをどうやってデザインするか」を考えるために考案されました。

しだいに、ユーザー目線の製品・サービスを提供するためにマーケティングに応用されるようになりました。

ペルソナを使ったマーケティングでは、顧客や市場のデータを基に実際に商品・サービスを使ってくれるだろうユーザーの、プロフィールや属性情報をかなり具体的に設定して、擬人化していきます。

  • Aさん
  • 女性
  • 35歳
  • 既婚
  • 都内勤務
  • カリフォルニアに移住予定
  • 夫 35歳
  • 小学2年生の女児一人
  • 3年前からサウナにハマっている
  • 半年ほど前から目尻の小じわが気になり始めている

ペルソナを想定すると、その人が私たちの商品やサービスをどこで知って、どのように使って、どんな感情を抱くのか、というように、実際に使用しているシーンを浮かびやすくなりますね。

このように、ペルソナマーケティングでは、理想的な顧客を架空に擬人化して、そのペルソナが我々の商品に出会ってから利用するまでのシーンを想像しながら、ユーザー目線の製品を作り上げていきます。

他に想定される要素は主に以下です。

人口統計的な属性年齢、性別、居住地、家族構成、国籍
仕事の属性業界、役職、勤務地、職歴、年収
行動性格、趣味、好み、購買行動
ライフスタイル (平日、休日の過ごし方)、SNSの利用
価値観興味、欲しいもの (ウォンツ)
こうなればいいなと思っていること (ニーズ)

ペルソナとターゲットの違い

どちらもユーザー像を表すため、よく混同されるマーケティングの用語ですが、人物像の設定の深さが異なります。

ターゲットは、「20代の女性向け」「会社員向け」といったようなマーケティングで対象とする顧客のグループのことを指す用語です。

ターゲティングとは、ニーズや性質ごとに顧客をいくつかのグループに分けてセグメンテーションし、どのグループ(層)の顧客を狙うかを定めて顧客を絞り込むことを指します。

市場規模や競合との差別化戦略など、顧客を「マクロ」な視点から分析することに長けています。

しかし、例えば、「20代の女性」というセグメントでは、あまりに広すぎて、製品開発やプロモーションが漠然としてしまいます。

そこで登場したのが、ペルソナマーケティングです。

ペルソナマーケティングでは、ターゲットの属性である「20代の女性」にさらに、「都内在住」「毎週、ヨガに通っている」「SNSはインスタとLINEを利用する」といった細かい設定を加えて架空の人物像を脚色していきます。

ターゲットとしたい顧客は誰なのかを、徹底的に分析して洗練させ、顧客像を誰が聞いても具体的にどんな人なのかイメージできるようにしたものがペルソナです。

ペルソナ設定のメリット-マーケティングの良質な意思決定と投資を実現する

ペルソナ設定のメリットを整理してみましょう。

ユーザー視点に立てる

ターゲットを擬人化して、詳細にその人のプロフィールを設定すると、ユーザーに対して親近感が湧いてきます。

すると、その架空の人物が、購入したり使用したりするシーンをリアルに想像することができるようになり、顧客の具体的なイメージを持ち、ユーザー視点で商品・サービスをデザインすることができます。

チーム同士で共通認識を作れる

ディレクター、開発、デザイナー、営業など、関わる人同士でAさんのプロフィールの共通認識があれば、「これってAさんぽくないよね」といったような言語化しにくいターゲットの顧客のイメージが統一され、ユーザーの共通のニーズを汲み取ったマーケティングの戦略をチーム全体で意思決定しやすくなります。

ユーザー・消費者から共感を得る開発ができる

ペルソナを設定してたった一人のために製品・サービスを作りこむことで、逆説的なようですが、多くのユーザー・消費者から共感を得てヒット商品が生み出されてきました。

あるペルソナにフォーカスして、ライフスタイルを徹底的に追求していかないとみえてこない、そのユーザーの本当のニーズが浮き彫りになるために、結果的に多数のユーザー・消費者から共感を得られるのです。

逆に、ターゲット層を広く設けたマーケティング戦略では、「万人受け」はするがパッとしない、といった製品やコンテンツが仕上がり、共感が薄れてしまう、ということがよく起こります。

ペルソナを設定する方法

ユーザーが多様化した現代において、「どんな人をペルソナに想定するのか」という問いは、想像よりもずっと難しいのではないでしょうか。

ペルソナをむやみに設定してしまったことで、逆に、消費者の共感を失い、結果的にマーケットを縮小してしまうという現象が実際によく起こるのです。

そのような背景からか、「マーケティングにペルソナを使うのは古い」といったネガティブな論調の記事も散見されるようです。

そうならないために、正しいペルソナ設定の方法をみていきましょう。

STEP1:徹底した情報収集を行う

ペルソナを的外れなものにしないために、近年では、市場調査や既存顧客の実データに基づいたペルソナ設定の重要性が叫ばれています。集めることができるあらゆる情報を収集しましょう。

過去の販売データ・顧客データ

これらは、顧客の豊富な情報源です。どんな人が買っているのか、どこで情報を手に入れたのか、どこで購入したのか、などの情報が詰まっています。

市場調査

業界全体の動向や競合の傾向をみていきましょう。既存の製品は、どこのターゲット層に支持されているでしょうか。市場自体の規模はどうでしょうか。

STEP2:情報を整理する

情報収集したデータの中から、きらりと光る、ペルソナの属性や好みを導き出すために、情報に優劣をつけていきます。

情報にスコアリングを行ったり、低、中、高といったような3段階評価をつけたりするとよいです。

情報を整理すると理想のユーザー像としてふさわしいターゲットの属性情報があぶり出されてきます。

STEP3:インタビューを行う

ここまでまとめてきた情報はあくまで事実に基づく「仮説」です。誤ったペルソナを設定することを避けるために、実際のユーザーにインタビューやアンケートを行なって、仮説検証を行いましょう。データからは見えなかった要素から、本当にその情報や分析は正しいかどうかが浮き彫りになるはずです。

その人たちの生態系や、最もシェアの多い顧客がどんな人たちなのか、一部のペルソナがもつ特異性など、数字だけではみえてこない定性的な傾向を抜け漏れなく捉えるようにしましょう。

ペルソナを設定する際の注意点

定性調査と定量調査を両方行う

ペルソナを設定するとは、たったひとりのユーザー像を作り上げることであるため、本質的には顧客の絞り込みを伴っているといえます。

そのため、絞り込みが的外れであると、成功確率が大きく下がってしまいます。

主観的なイメージが介入しやすい定性情報だけで、ペルソナを設定しないようにしましょう。定量調査を行い、客観的な分析することによって、成功確率の高いペルソナを作り上げることができます。

BtoBの場合は決裁者が誰なのかを軸に考える

BtoBでは、ペルソナ設定に組織の論理が加わることになります。

例えば、どれだけ担当者に良い印象を持ってもらっても、所属する組織の課題、その人の決裁権、事業の状況などが大きく影響することがあります。BtoBの場合には、決裁者が誰なのかを軸に考えましょう。

メディアとプロダクトのペルソナ論の違いに注意する

ここでの説明は、以下のペルソナを想定して説明します

  • Aさん
  • 女性
  • 35歳
  • 既婚
  • 都内勤務
  • カリフォルニアに移住予定
  • 夫 35歳
  • 小学2年生の女児一人
  • 3年前からサウナにハマっている
  • 半年ほど前から目尻の小じわが気になり始めている

メディアのペルソナの場合

メディアは、多様な人々に対して多様なコンテンツを提供できるポテンシャルがあるため、ペルソナの条件が多いほどターゲットが広がります。

メディアのペルソナの場合、一部のペルソナの条件にしか合致していなくとも共感性を失わない

「30代、丸の内のキャリアウーマンがオススメする、朝のクイックシワ対策」

こんな記事はAさんのペルソナの条件にぴったり合致していて、受けそうなコンテンツですね。では、例えば、こんなコンテンツはどうでしょう。

「カルフォルニアの天才マーケターは同世代結婚をどう考えるか」

「現地人でも知らないカルフォルニアの韓国料理の名店」

いずれも、Aさんのペルソナの条件に一部合致してはいますが、完全な一致ではありません。

しかし、同世代結婚というキーワードに対してAさんは興味を引くだろうし、カリフォルニアに移住する予定であればカリフォルニアの名店も惹かれるのではないでしょうか。

このように、メディアのペルソナの場合、一部のペルソナの条件にしか合致していなくとも共感性を失わない、ということがいえます。つまり、メディアにおいては「ペルソナの条件が多ければ多いほどターゲットが広がる」ということですね。

プロダクトのペルソナの場合

一方で、プロダクトのペルソナを考えてみます。

ここでも、例えばAさんのように、細かく、「年齢、既婚、勤務地…」といったようにペルソナを設定したとしましょう。

興味深いことに、この細かい条件を付与したAさんに対して、しわ対策化粧品のマーケティング戦略を打つと、ターゲットが局所的すぎて、自分のマーケットを縮小させることにつながります。

別に、30代も80代もシワには悩んでいるし、労働してる人もいれば、リタイアしている人もいますし、子供がいる人もいればいない人もいますよね。

プロダクトの場合は、共通したペインである「シワに悩んでいる」こと以外の条件が増え、USP (Unique Selling Proposition、「独自の売り提案」) やベネフィットと無関係なペルソナ条件を付与させていくと、消費者の共感性を失い、結果的にマーケットを縮小させるという現象が起きてしまうのです。

それを避けるために、プロダクトのペルソナ’は、プロダクト自体のUSPやベネフィットを中心に最大公約数的に設定しなければいけません。

今回ように、しわ対策の化粧品で戦略を打つならば

  • ママ友とのランチ会をきっかけにエイジングを意識し始め、しわに悩んでいる
  • 元々美容意識が高く、しわに最も良い商品を常に探している

というような設定がよいと考えられます。

市場規模 = (ペルソナやその同様人物の数)×利用意向×メンタルアカウンティング

であるため、消費者の共感性を失うということは、利用意向やメンタルアカウンティングの数値が悪くなってしまうために、結果的に市場規模の縮小が生じてしまいます。

プロダクトにおいては、ペルソナの条件を多くすれば、ターゲットが広がったり縮小したりすることを考慮に入れた上で、むやみにペルソナの条件を足すことによって市場を喪失しないように注意しましょう。

ペルソナの成功事例 – MEN’S TBC

メンズエステのMEN’S TBCは「三軒茶屋のワンルームマンションに住む都内のA学院大学に通っている20代前半の男性」のようにペルソナを設定して成功した事例です。

  • 世田谷区三軒茶屋のワンルームマンションに住んでいている
  • 夜は麻布にあるバーでアルバイトをしている
  • ヘアケアやボディケアは安いだけでなく原材料・品質にもこだわっている

といったペルソナを設定しました。

ペルソナを分析してコンビニを中心に男性向けのコスメティックを販売するマーケティング戦略をとり、MEN’S TBCの認知度を上げることに成功しました。

このようなユーザー視点のブランディングによって、問い合わせ数が3〜4割アップしたようです。

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https://dev.infohub.jp/media/2020/09/18/3025/feed/ 0
【解説】5つのマーケティングコンセプトとは?その変遷と違いを知ろう https://dev.infohub.jp/media/2020/09/03/2971/ https://dev.infohub.jp/media/2020/09/03/2971/#respond Wed, 02 Sep 2020 23:00:00 +0000 https://infohub.jp/?p=2971 マーケティングコンセプトとは、文字通り、マーケティングをする上での考え方のことで、時代とと...

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マーケティングコンセプトとは、文字通り、マーケティングをする上での考え方のことで、時代とともに大きく変遷してきました。マーケティングの考え方が登場した18世紀から現在までに生み出されたコンセプトは大きく5つに分類されます。本記事では、顧客のニーズを満たし、売上を伸ばし、利益を最大化し、自社を成長させるための5つのマーケティング・コンセプトをその変遷の歴史とともに紹介します。

マーケティングコンセプトとは?

マーケティング・コンセプトとは、マーケティング全体を貫く考え方のことです。

マーケティング」という言葉が認知され始めたのは20世紀初期頃からと言われていますが、マーケティングの考え方自体は、18世紀後半には存在していました。

1776年、アダム・スミスは国富論にて、「生産者のニーズは消費者のニーズを満たすことにおいてのみ考えられるべきだ」と、現在のマーケティングに通ずる考え方を示しました。

それから現在にいたるまでの200年以上の間、広告、宣伝、販売などのあらゆるマーケティング活動は、企業が魅力的な製品を生み出して顧客のニーズを満たし、売上と利益を最大化させるように進化してきました。

時代背景や経済に影響されながら変遷してきたこのような活動の方向性こそが、マーケティング・コンセプトです。

マーケティング・コンセプトは以下の5つに分類されます。それぞれのコンセプトについて見ていきましょう。

  1. 生産志向
  2. 製品志向
  3. 販売志向
  4. マーケティング志向(顧客志向)
  5. ソーシャル・マーケティング志向(社会公共志向)

プロダクトアウトとマーケットインの歴史

マーケティング・コンセプトを理解する上で、まず初めに知っておいていただきたいマーケティングの基本概念が、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」です。

プロダクトアウトは企業視点、マーケットインは顧客視点を重宝して施策が展開される

プロダクトアウトとは?

プロダクトアウトとは、企業の技術や思想、感性などを優先して、企業の作りたいもの、作れるものを基準に、「企業目線」で商品開発や生産をすることを指します。

18世紀後半、産業革命以降、まだ世にモノがあふれていない時代、作れば売れる状況が続き、大量生産を強みとする「作ってから売り方を考える」というプロダクトアウトの考え方で産業・市場は成長してきました。

しかし、1970年代以降、モノが行き渡るようになり、市場は成熟し、顧客のニーズをなおざりにした、作り手本位のサービスや商品は受け入れられなくなりました。そこで、登場したのが「マーケットイン」の考え方です。

 マーケットインとは?

マーケットインとは、プロダクトアウトと対になる概念で、顧客の声やニーズに重きをおいた「顧客目線」の商品開発や生産のことです。

近年のあらゆる市場が直面している供給過剰で「モノが売れない」状況では、いかに「マーケットイン」に基づいて、顧客の求める商品・サービスを提供するか、という視点を持った商品開発や生産が求められています。

プロダクトアウトの考え方では商品・サービスに適した顧客を見つけることが目的ですが、マーケットインの考え方では、顧客に適した商品を提供することを目的とします。

プロダクトアウト:生産者中心の時代

18世紀後半、産業革命の幕開けとともに、最初に覇権を握ったのが、「プロダクトアウト」を基本とする、企業目線のマーケティング・コンセプトです。

日本では、よく「プロダクト・アウト=悪」の構図で説明される場合が多いですが必ずしもそうではありません。例えば、イノベーティブな製品を世に送り出すのが得意である、市場が未熟で製品が出回っていないなど、現代でも場合によっては効果的なアプローチです。

むしろ、マーケティング戦略を考える上では、顧客目線と企業目線を両方持っておくことが重要です。

生産志向

生産志向は、製品を「広く、安く、出来るだけ多く」生産することを重視する考え方です。

日本では戦後の1950年代から高度経済成長期にかけて、メーカー主導で「大量生産」を基本とする生産志向の販売戦略が取られました。

この時代、市場は未熟で、モノは不足していましたが、その分消費に伸びしろがあり、市場は急成長していました。このような、供給が不足しており短期間での成長が期待できる市場では、生産志向のような生産力を拡大する戦略が有効です。

生産志向の例

Amazonや小売店には中国製の安い商品があふれています。中国は生産拠点を主要都市に集中させ、労働生産性をあげ、製品を大量に生産しています。

そのため、例えば、中国製のスマートフォンなどを見ても、価格帯の低いものが多く、世界中に広く普及しています。生産志向を得意とする企業は、大量生産のスケールメリットによって生産・製造を合理化する「安く、どこでも手に入る」ことを競争優位性とします。

製品志向

1970年代、日本では高度経済成長が終盤を迎え、SONYやホンダなどを筆頭に、企業は高い技術力や優れた製品を市場に提供するようになりました。モノがあふれ始めると、消費者はしだいに製品同士を比較してより良いものを求めるようになります。

この段階で、高品質、高性能、多機能、よいデザインなど、より優れた製品を提供することにフォーカスする製品志向が登場しました。企業は、継続してよりよい製品を作り、改善することを最優先に行います。

製品志向の例

Appleは、2001年に「iPod」、2007年に「iPhone」を発売するなど、顧客が想像もしなかったような、革新的な製品を世に送り出し、世界で初めて時価総額1兆円を超える企業にまで成長しました。

Appleの製品のように、高品質で革新的な商品・サービスを提供してレビューや口コミで高評価を得られるようになれば、広告費に多額のコストを注入する必要がありません。

企業視点のプロダクトアウトの思想が生み出した製品がときに爆発的に世界中の市場に浸透し、会社を成長させることがある好例です。

よい製品を提供することはマーケティングの最も基本的なことの一つです。しかし、たとえ技術があるからといって、例えば、今の時代に最高品質のフロッピーディスクを開発するのはよい戦略でしょうか。

顧客が求めているのは小さくて容量も多いUSBフラッシュドライブならば、どんなに高機能のフロッピーディスクを完成させても全く売れない、という事態が発生しかねません。過度な企業目線の製品志向にはリスクがあることを忘れてはいけません。

販売志向

需要に対して供給か過剰になると、単に優れた製品を作ってもモノは売れなくなります。この段階で、必然的に「いかに販売するのか」を考える必要が出てきました。

販売志向は、積極的に大規模に販売を行い、そのよいところを訴求することでプロダクトを購入してもらう方法です。

注意すべき点として、この販売志向は、その商品・サービスが顧客のニーズやウォンツに沿っている必要がないということです。

つまり、企業の都合で生み出された、顧客が必要としていない製品を、よいところを訴求してとにかく買ってもらうことにリソースを注ぎ込む、企業本位の戦略になりかねないアプローチであるともいえます。

 販売志向の例

献血や保険といった、顧客に対してメリットが必ずしも無かったり、リスクを追う可能性があったり、といったサービスは、むしろ大規模に広告や宣伝を行わなければ、顧客が進んで利用しないことが多いと考えられます。

このようなサービスをマーケティングするときに、この販売志向は非常に強力な戦略となります。

マーケットイン:消費者中心の時代

昨今のように、モノは簡単に手に入り、市場は飽和し、消費者の消費行動が多様化した成熟した資本主義経済では、会社側の都合で作った製品を売る「プロダクトアウト」では、顧客を獲得することが容易でなくなってきました。

代わって登場したのが、顧客のニーズやウォンツを調査し、顧客の求めるサービスを提供する消費者中心の「マーケットイン」の考え方です。

マーケティング志向

販売志向のように、大規模に販売活動を行なったとしても、本当に求められていない製品を売るのには限界があります。そこで登場したマーケティング志向は、「ターゲットのニーズやウォンツ」を意識し、競合よりも優れた価値(競合優位性)を提供することに焦点を当てるコンセプトです。

米国で1950年代以降に登場し、それ以降マーケティングの考え方は日本に広く浸透するようになりました。

多くの企業が、消費者を理解するために努力し、最高の製品やサービスを提供しようとするようになり、マーケティング志向はビジネスの基本的な考え方として定着し、21世紀に突入しても依然中心的な役割を占めています。

マーケティング志向の例

ペプシとコカコーラは、コーラという全く同じ製品を扱いますが、異なった戦略をとって共存しています。

例えば、ターゲット一つとっても、ペプシは、若い世代を獲得することに焦点を当てている一方で、コカコーラは、より幅広く顧客を集めることに注力しています。

競合のとっている戦略を後追いするのではなく、綿密な顧客や市場調査に基づいて、自社に最適なマーケティング戦略を考えることが大事になってきます。

時代は社会的マーケティング志向へ

日本に導入されて50年以上たっても主流の考え方であったマーケティング志向は、近年、第5のより洗練された志向、すなわち「社会的マーケティング志向」へと進化しようとしています。

社会的マーケティングの概念は、ソーシャルマーケティングとも呼ばれ、顧客だけでなく、社会全体に価値を還元しようとするマーケティングのことを指します。

モノが簡単に手に入り、誰もが物質的に豊かになった現代では、環境悪化、資源不足、人口増加、貧困などの社会的な課題にビジネスが貢献できているのか、むしろ悪化させているのではないか、と疑問を持つ人が増えています。

このような状況から、企業は利益を追求するだけではなく、「長期的な目線を持ち、社会に還元すべき」だという社会的マーケティング志向が広まってきています。

社会的マーケティング志向の例

明治時代に出版され100年以上読み継がれた渋沢栄一の「論語と算盤」には、「本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではない」とあり、社会的マーケティングと同じような考え方がすでに示されています。

また、同時代「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」がよい商売のあり方であるという「三方よし」という言葉も生まれました。

先が読めず、社会的な課題の解決が待ったなしの21世紀だからこそこういった考え方は再注目されるようになり、多くの企業が、CSR(企業の社会的責任)を考え、企業として「利益を追求するだけでなく、経済、環境など社会全体でのニーズを捉える」べきだという風潮が高まっています。

 販売志向とマーケティング志向の違い

ここまで、マーケティングコンセプトの変遷を見てきました。本記事の最後に、一見すると、よく似た概念のようにもみえる、販売志向とマーケティング志向の違いを見てみましょう。

比較-販売施工とマーケティング志向にはいくつか違いがある

大きな違いは、企業目線か顧客目線か、です。

販売志向は、どれだけ売るかを突き詰めますが、企業目線が行きすぎてしまうと、どれだけ販売に力を入れても、顧客が本質的に求めていない商品・サービスは売れないというリスクがあります。

マーケティングは、必要とあればもちろん販売に力を入れ、よい商品・サービスを提供しようとしますが、その際にも必ず顧客のニーズや市場を調査し、それに基づいた販売する、顧客目線の考え方です。

常に顧客に寄り添うことこそが、成功の鍵であると考えます。

マーケティングコンセプトまとめ

いかがだったでしょうか。マーケティングコンセプトを考えることは、ひいてはそのビジネスが顧客や社会に何を還元できるのか、を考えることに繋がっていました。マーケティング戦略は企業の在り方をも決定づけてしまいます。

消費行動が多様化し、市場が常に変化し続けている現代だからこそ、マーケティングの方向性を決定するマーケティングコンセプトを今一度考えたいですね。

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