マーケティングコラム | INFOHUB-media https://dev.infohub.jp/media 国内・海外のビジネス・テクノロジーニュース・事例をお届け Mon, 28 Sep 2020 08:05:57 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=5.7.12 https://dev-wp.infohub.jp/wp-content/uploads/2020/10/cropped-icon_logoA_2-32x32.png マーケティングコラム | INFOHUB-media https://dev.infohub.jp/media 32 32 【リスト】今日から始めるマーケティング心理学-おすすめ34種+αを紹介 https://dev.infohub.jp/media/2020/09/29/3031/ https://dev.infohub.jp/media/2020/09/29/3031/#respond Mon, 28 Sep 2020 23:00:00 +0000 https://infohub.jp/?p=3031 マーケティングを行う上で「どのように顧客を動かせばいいのだろうか」ということを課題に感じた...

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マーケティングを行う上で「どのように顧客を動かせばいいのだろうか」ということを課題に感じたことがありませんか。そこで有効なのがマーケティング心理学です。心理学というと、難しく、実践で役に立つのかわからないなと思うかもしれません。しかし、心理学とは顧客の行動や心理を科学的に実証したものであり、マーケティング施策でも大きな活躍が期待されます。そこで本稿ではマーケティングに役立つ心理学を一挙紹介します。

マーケティングに役立つ心理学34種

一貫性の原理 :フリートライアル

一貫性の原理とは、顧客が一度自分の立場を明確にすると最後まで同じ立場で一貫性をもたせたいと考える心理的原則です。

社会心理学者であるチャルディーニ博士の「影響力の武器」で紹介されています。一貫性の原理を利用したテクニックに、「フット・イン・ザ・ドア」と呼ばれるものがあります。

これは、営業マンがドアに足を入れることさえできれば販売に成功するというものです。

「ドアに足を入れるのを許す」という立場にコミットさせることで、顧客は営業マン自体を許すという立場を取ることになるというものです。

また、近年ではサブスクリプションサービスの1ヶ月無料などのフリートライアルも一貫性の原理を活用しています。顧客がフリートライアルの申し込みにコミットすることで、1ヶ月後もサービス継続して利用する可能性が高まります。

返報性の原理:おまけ、ホワイトペーパー

返報性の原理とは、いいことをしてもらったら、その相手にお返しをしてあげなければいけないと考える人間心理です。

返報性の原理を利用した例として、お見積りをするだけで洗剤やおまけなどをもらえるなどがあります。

顧客は何かをもらうと、心理的なハードルが下がり、なにかお返しをしてあげないといけないと感じ、購入や契約をするというものがあります。

その他にも、スーパーでの試食やホームページなどでのホワイトペーパーなどのダウンロードコンテンツも返報性の原理を活用した事例です。

上述した「影響力の武器」でも返報性の原理に関して下記のようなデータがあります。

欧米では支払いの際にサービスの対価としてチップを支払う習慣があります。請求書とともにミントを一つ持っていくと、通常よりも3.3%、ミントを2つ持っていくと通常よりも20%も多くチップを支払ったそうです。

マジカルナンバー :7不思議、3種の神器

マジカルナンバーとは、人が短期記憶できる情報の塊の数です。最初に1956年にジョージ・ミラー教授により提唱されました。

当初、7不思議、7つの大罪など世界に”7”に基づく例が多いことから、人が記憶できる数は「7±2」とされていました。

しかし、2001年にコーワン教授が発表した論文では、「4±1」が人の短期記憶の限界とされています。現在では、コーワン教授の数字が一般的とされております。

具体的な施策には、ホームページや商談でなるべく多くの情報を伝えたくなりがちですが、3−5の要点に絞り込むなどの工夫するなどがあります。

決定回避の法則 :選択肢が多いと決定できない

決定回避の法則とは、選択肢が多いと逆に行動を起こせなくなるという原則です。シーナ・アイエンガー教授の「選択の科学」で下記の実験が紹介されています。

あるお店の前でジャムの試食を6種類のジャムをおいた場合と24種類のジャムをおいた場合での購入率を比較しました。

そうすると、24種類のジャムの場合は3%であったのに対して、6種類の場合は購入者が30%という結果になりました。

ここから、選択肢が多すぎることで、購入の意思決定ができなかったのではということがわかります。選択肢を絞ることで購入を促進するようにしましょう。

認知的不協和:食事制限無しでダイエット

認知的不協和とは、人は自分の中の基準やルールに矛盾したものに対して無意識的に不快感を感じるというものです。

本棚の並び順があっていないと不快感を感じますよね。
マーケティングでは、逆に不快感を感じさせることで興味関心を引くといった形で活用されます。

例えば、「食事制限無しでダイエット」、「寝ているだけで年収1000万円以上」など普通に考えると違和感を感じる内容をヘッドコピーにすることで、その不快感を解消するために読んでみたい、商品を使ってみたいと思わせるなどの手法などがあります。

ピーク・エンドの法則 :アフターフォロー

ピーク・エンドの法則とは、ダニエル・カーネマンによって提唱された心理仮説であり、人は経験した時間の長さよりも最良や最低などのピークのふれ幅と最終局面で判断するというものです。

例えば、2時間の映画でもクライマックスの印象で映画の良し悪しを判断するといったことや、テーマパークで2時間行列を待ったとしてもアトラクションが楽しいと待っていた辛い記憶は忘れてしまうといったことです。

ビジネスでは顧客満足度などを上げるために活用できます。サービスがいくら良くても、最後の印象が悪いと良くなかったという印象が残ってしまいます。

逆にサービスにミスがあっても、最後にフォローがあるとその印象が残り、また来店したいと思うかもしれません。

マッチングリスク意識 :無料お試しセット、返金保証

マッチングリスク意識とは、購入する商品やサービスが、本当に満足のいくものなのか不安に思う心理です。

購入して間違いないのかという不安から購入に躊躇してしまうため、企業側はどのようにリスクをなくせるかを検討する必要があります。

例えば、無料お試しセットなど事前に商品を試せる機会を設定したり、返金保証などで購入のハードルを減らすといった手法が有効です。

バイヤーズリモース :購入直後の後悔

バイヤーズリモースは、大きな買い物をした直後に後悔を感じる心理です。

消費者は購入するまでにテンションを上げていき、購入時点の満足度がピークとなり、その後冷静になっていく中で顧客満足度が下がっていき、返品などに繋がる可能性があります。

そこで企業に必要なのは、バイヤーズリモースを起こさせないためにもアフターケアです。例えば、DMやメルマガなどで有効な情報を送ることやサンクルレターなどを送るなどが有効です。

カクテルパーティー効果:名前を入れて話す

どんなにガヤガヤしていても自分の名前が呼ばれると気がつくということがあるかと思います。このような自分に関心があることや名前などを認識することをカクテルパーティー効果と呼びます。

人は、自分が興味のないことは無意識にシャットアウトする仕組みになっています。そのため、企業やブランドはいかにして消費者に認識してもらうかが重要になってきます。そこでカクテルパーティー効果を活用し、顧客の名前や興味あることを入れたメッセージを送ることで、興味関心を抱いてもらう工夫が有効です。

ストループ効果 :赤は止まれ

ストループ効果とは、独立した2つの情報に矛盾があると認識するのに不快感を感じるというものです。

例えば、赤い文字で「青」と書かれていると、赤と青どちらも認識するためには通常より時間がかかります。他に緑は進め、赤は止まれと認識しているため、赤い文字で進めと書かれていても認識がしづらいです。

マーケティングの施策では一瞬が勝負です。そのため、消費者に認識してもらうためにもメッセージとデザインの整合性などストループ効果を意識しましょう。

カリギュラ効果 :絶対に〜しないでください。

カリギュラ効果とは、何かを禁止されることで余計にそのことが気になってしまう心理です。

例えば、昔話の「鶴の恩返し」はカリギュラ効果の話です。広告コピーでも「〇〇な人以外は読まないでください」という形で消費者の心をくすぐります。

文脈効果:「北海道の自然が生んだ〜」、「英国紳士が愛した〜」

文脈効果とは、周囲の環境や状況に合わせて対象への認識が変わる心理効果です。

例えば、テーマパークなどではドリンクや食べ物の価格が通常よりも高く設定されています。しかし、テーマパークにいるという特別感や非日常という文脈が加わることによりそこまで高く感じないというのが文脈効果です。

文脈効果の活用法としては、「北海道の自然が生んだ」、「英国紳士が愛した」などコピーとして活用したり、お店ではBGMやインテリアなどを整えシチュエーションを作るなどの方法があります。

フレーミング効果 :全米が泣いた

フレームング効果とは、表現方法などを変えることで物事の受け取り方が変わるという行動経済学の理論です。

例えば、コップに水が半分入っていても、「まだ半分もある」と思うのと「もう半分しかない」というので認識の仕方が変わります。このように消費者に相対評価を促すような表現方法を呈示することで商品の把握の受け取り方が変わります。

フレーミング効果を活用した事例としては、価格や商品自体について伝えるなど様々な手法があります。例えば、価格の場合8%割引セールよりも消費税還元セールの方が魅力的に見えたり、商品についても「7%が満足しなかった」と呈示するよりも「93%が満足」と提示しているほうが魅力的に見えます。

スリーパー効果 :時間経過と情報の信頼性が高まる

スリーパー効果とは、信頼できない情報源からの情報であっても時間が経つと情報への信頼性が高まっていくというものです。

例えば、信頼できない友人から聞いた噂話でも聞いたときは信じていなかったが、時間が経つと噂話のことだけを覚えているというようなものです。

このようなスリーパー効果を活用して、簡単には落とせない顧客や上司などを説得します。その際のポイントは、キーワードを刷り込む、表現を変えながら伝える、相手に判断させるということです。

アンダードッグ効果:業界第2位

アンダードッグ効果とは、負け犬効果とも呼ばれ、弱い立場や不利な立場にいる人を応援したくなる心理です。一生懸命やっているけど結果につながらないという人に対しての同情心とも言います。例えば、万年勝てないスポーツチームを応援したくなるなどがあります。

このようなアンダードッグ効果を活用した事例としては、2000年にKDDIが実施した「2位が世界を面白くする。通信業界現在2位」というキャンペーンなどがあります。2位ということを提示することで応援したくなる気持ちを刺激するというものです。

プロスペクト理論 :期間限定キャンペーン

プロスペクト理論とは、目の前に提示されたものの損失度合いで、人の意思決定が変化するという理論です。

例えば、期間限定セールなど今買わないと損をするという心理を刺激したり、「100人に1人無料」では自分が無料になるかもという得するかもという心理を刺激することで購買意欲を促進します。

ウィンザー効果 :〇〇がおすすめ

ウィンザー効果とは、直接言われるよりも第三者に言われる方が信頼するという心理効果です。

例えば、専門家のおすすめのお墨付きがついている方が印象よくなるなどがあります。口コミマーケティングやインフルエンサーマーケティングもウィンザー効果を活用しているといえます。

ツァイガルニク効果 :続きはウェブで

ツァイガルニク効果とは、完璧なものよりも不完全な、未完成な物事に興味を惹かれるという心理効果です。

例えば、よくテレビ番組などで「続きはCMの後で」というフレーズがあるかと思います。これもツァイガルニク効果を狙い、視聴の継続を狙ったものです。

活用方法としては、コンテンツの一部だけを無料公開するといったことや「続きはウェブで」など別のメディアからウェブに誘導するなどの施策があります。

アンカリング効果 :最初の価格の影響を受ける

アンカリング効果とは最初に提示された情報がその後の判断に影響を与えるというものです。これは、船のいかりを下ろすことから名付けられました。

例えば、普段5000円では買わない商品があるとします。しかし、その商品がもともと10,000円だったところ、セールで5,000円になっていたら、お得と感じて購入するかもしれません。

テンション・リダクション効果:オプション提示

大きな買い物をした後に気持ちが大きくなってしまい、おすすめされたものも購入してしまうのをテンション・リダクション効果といいます。

例えば、自動車を購入する時にオプションをおすすめされて、ついつけてしまうなどがあります。その他、Amazonなどのレコメンド機能もこの一つです。

クレショフ効果 :関連性のない画像に勝手に関係を解釈する

クレショフ効果とは、複数の画像になんの関連性がなくても無意識に関係性を解釈する心理効果です。

例えば、リポビタンDのCMでは、崖を登る男とリポビタンDは全く関係ありません。しかし、視聴者はピンチな時にエネルギーを得られるのがリポビタンDだなと勝手に解釈します。このように全く関連性がなくても、消費者に解釈してもらいたい文脈を前後の画像・動画で形成することでブランドイメージ構築等に活用できます。

ハロー効果 :有名人の活用

ハロー効果とは、目立つ特徴に引きづられて、他の要素まで評価してしまう認知バイアスの一つです。

例えば、TVCMで有名人を活用する事によりイメージを植え付けるという例があります。

また、Redbullは広告では商品のことを言わずにエクストリームスポーツへの協賛や宣伝を行っています。これにより、Redbullはクールな商品というイメージを植えつけに成功しています。

ヴェブレン効果:ブランド品

ヴェブレン効果とは価格が高いほど購入意欲が高まる効果です。ヴェブレン効果は一般的な価値観とは逆ですが、富裕層が見せびらかす自己顕示欲を満たすことが目的です。

例えば、ブランド品や貴金属などが自己顕示欲を満たすヴェブレン効果を狙った商品と言えます。

コンコルド効果(サンクコスト効果):もったいない

コンコルド効果とはサンクコスト効果とも言われ、金額や時間を投資し続けるのが損とわかっていても今までの投資が無駄になるのが惜しんでやめれられないという心理です。

例えば、モバイルゲームに飽きてきたけど今までの課金アイテムなどがもったいなくてやめられない、などがあります。

初頭効果 :第一印象が大事

初頭効果とは、ユーザーが第一印象が強く印象に残り行動に影響するという行動心理です。例えば、ウェブサイトのファーストビューで伝えたいメッセージを伝えたり、セールストークの初めに伝えたいポイントを伝える方法などがあります。

特に消費やブランドに対しての関心が低い顧客に対して効果的です。

ディドロ効果:コレクション

ディドロ効果とは、新たなモノで価値観が提供されると、その新たな価値観に合わせて自分の生活環境や持ち物を統一したくなる心理です。

例えば、机を一つ買ったらそれに合わせてインテリアも揃えたくなるようなものです。これを活用した事例として、モバイルゲームでアイテムをコンプリートしたくなることで購買意欲を促進するなどの例があります。

ザイオンス効果 :何度も接触

ザイオンス効果とは接触回数を増やすことで親近感が湧くという心理効果です。

例えば、全く興味ない商品やブランドでも何度も目にするうちに興味関心が湧いてくるというものです。ブログやSNSの更新やメールマガジンの発行などの手法があります。

バーナム効果(フォアラー効果):自分向けと思わせる

バーナム効果とは、誰にでも当てはまるものが自分向けと思わせる人間心理です。例えば、性格占いなど誰にでも当てはまることを自分のことだと思わせることなどがあたります。

バーナム効果を狙ったマーケティングへの活用方法として、「上司とうまくいかないと思っているあなたへ」など自分向けを思わせるキャッチコピーを作成するなどの手法があります。

コントラスト効果 :情報の差が実際の差を大きく感じる

コントラスト効果とは、2つ以上のものの差異があると実際の差よりも大きく感じるという心理効果です。すいかに塩をかけると甘く感じるというのもその一つです。

例えば、値段が1000円となっているものより、1500円から500円引きされて1000円となっている方がお得に見えます。比較対象を作ってあげることにより消費者が選びやすくするということです。

保有効果 :無料体験

保有効果とはモノの価値を所有することで、所有する前よりも高く感じ、そのものを手放せなくなる心理のことです。

保有効果は、所有していたことにより愛着が湧いたり、失う損失の方が大きく感じてしまったりすることにより起きます。

保有効果を感じてもらうためには、まず顧客に商品を一度利用してもらうことです。無料体験などで商品やサービスを一度利用してもらうことで価値を体験してもらうことで手放したくはないと思わせるなどの施策があります。

シャルパンティエ効果 :これだけで一日分のビタミン

シャルパンティエ効果は、身近な例を使うことで心理的な錯覚を起こさせる減少です。

例えば、「この錠剤一つで一日分のビタミンが取れる」というように消費者にとってわかりやすい形で伝えることで商品の良さをアピールするという施策などがあります。

ゴルディロックス効果(松竹梅の法則) :真ん中の選択肢を選ぶ

ゴルディロックス効果とは、3つの選択肢があったときに消費者が真ん中の選択肢を選ぶ人間心理です。

日本では、松竹梅の法則とも呼ばれ、選ぶ確率は、松:竹:梅=2:5:3と言われています。

この効果を逆手に取り、真ん中の価格帯に一番売りたいものをおくといったことなど価格の検討する時に活用しましょう。

ブーメラン効果 :思わぬ反発・抵抗

ブーメラン効果とは、自分が思った方向に向けようとすると相手が逆の方向に向いてしまうという心理効果です。

例えば、子供の頃「宿題をやろう」と思った時に両親に「宿題をやりなさい」と言われるとやる気が無くなるというものがあると思います。それがブーメラン効果です。そこで企業はブーメラン効果を促さないようにすることを意識する必要があります。

【+α】イノベーター理論は消費者心理の解像度を上げるきっかけに

最後に消費者心理を理解するために有効なイノベーター理論をご紹介します。イノベーター理論とは、新たな価値観や技術をベースにした商品やサービスが市場に普及に関する理論です。

イノベーター理論では、新たなサービスや商品を受け入れる人の順に、イノベーター、アーリーアダプター、アーリーマジョリティー、レイトマジョリティー、ラガードで分類したものです。それぞれの分類について下記で詳しくご紹介します。

イノベーター理論は消費者心理の解像度を上げるきっかけになる

イノベーター(革新者)

革新的な新商品をいち早く利用する層です。この層は商品の善し悪しで判断するのではなく、最先端の技術や新しいということを重視して利用します。市場の約2.5%程度を占めます。

アーリーアダプター(初期採用者)

アーリーアダプターは、流行に敏感で自ら情報収集し、自分で良いと判断した商品を購入する層です。他の消費者にも大きく影響を与える層でもあり、オピニオンリーダーともいわれる層です。市場の約13.5%を占めるといわれています。

アーリーマジョリティー(前記追随者)

アーリーマジョリティーは、話題になっているものを購入するそうです。話題や流行を逃さないように市場全体より少し早く取り入れます。全体で34%を占めます。

レイトマジョリティー(後期追随者)

レイトマジョリティーは、新たなサービスや新技術に懐疑的な層です。市場の過半数を受け入れてから新たな商品の購入を行います。市場全体の約34%を占めます。

ラガード(遅滞者)

市場全体の16%を占め、新しいものに関心はなく、むしろ受け入れたくないと思っている層です。

マーケティング心理学まとめ

いかがでしたでしょうか。心理学はマーケティングにも活用できるため学ぶことのメリットは大きいです。本稿でご紹介したのはマーケティング心理学の一部です。

もし、興味がある人は更に調べてみてはいかがでしょうか。調べる対象としては、社会心理学、認知心理学、行動心理学、行動経済学などがおすすめです。マーケティングに活用できる心理学ももれなく応用できます。

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ペルソナとは?マーケティングに活かす際の3つの注意点や事例を解説 https://dev.infohub.jp/media/2020/09/18/3025/ https://dev.infohub.jp/media/2020/09/18/3025/#respond Fri, 18 Sep 2020 04:52:57 +0000 https://infohub.jp/?p=3025 「ペルソナ」という用語をご存知ですか。昨今、マーケター、デザイナー、ライター、営業、開発、...

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「ペルソナ」という用語をご存知ですか。昨今、マーケター、デザイナー、ライター、営業、開発、などあらゆる人が、ペルソナを活用しているため、耳にしたことがある方は多いかと思います。

自社のプロダクトが伸び悩んだヒット商品を企画したい、そんなときに力を発揮するペルソナマーケティング。

この記事では、そもそもペルソナとはなんなのか、ペルソナ設定の注意点、その成功事例などを幅広く紹介し、どのような情報に基づいてペルソナ設定を行うべきか、その実践的な手法を惜しみなく解説します。

この記事のまとめ

ペルソナ (Persona)を設定するとは、ターゲットとする顧客のプロフィールや属性情報をもとに、理想のモデル顧客を擬人化することをいいます。

ペルソナを設定することで、

  1. ユーザー視点に立った商品を
  2. チーム同士で共通認識を持って
  3. ユーザー・消費者から共感を得る開発ができます。

ニーズが多様化した現代において、むやみにペルソナを設定すると逆効果です。ペルソナをひとり設定することで、ターゲットを絞りすぎたり、共感性を失ったりして、結果的に顧客を失うことになりかねないからです。

そうならないために、ここでは

  • 定性的・定量的なデータから導く最適なペルソナ
  • メディアのコンテンツにおけるペルソナ
  • プロダクトにおけるペルソナ

このようなペルソナを構築する方法をまとめています。

ペルソナとは?

ペルソナ (Persona)とは、理想のユーザー像のことを指すマーケティングの用語です。

1983年に元マイクロソフト (microsoft)の有名なソフトウェアエンジニアのアラン・クーパー (Alan Cooper)氏が提唱した概念で、元々はPCが家庭に広まる黎明期に「誰でも使いやすいソフトウェアをどうやってデザインするか」を考えるために考案されました。

しだいに、ユーザー目線の製品・サービスを提供するためにマーケティングに応用されるようになりました。

ペルソナを使ったマーケティングでは、顧客や市場のデータを基に実際に商品・サービスを使ってくれるだろうユーザーの、プロフィールや属性情報をかなり具体的に設定して、擬人化していきます。

  • Aさん
  • 女性
  • 35歳
  • 既婚
  • 都内勤務
  • カリフォルニアに移住予定
  • 夫 35歳
  • 小学2年生の女児一人
  • 3年前からサウナにハマっている
  • 半年ほど前から目尻の小じわが気になり始めている

ペルソナを想定すると、その人が私たちの商品やサービスをどこで知って、どのように使って、どんな感情を抱くのか、というように、実際に使用しているシーンを浮かびやすくなりますね。

このように、ペルソナマーケティングでは、理想的な顧客を架空に擬人化して、そのペルソナが我々の商品に出会ってから利用するまでのシーンを想像しながら、ユーザー目線の製品を作り上げていきます。

他に想定される要素は主に以下です。

人口統計的な属性年齢、性別、居住地、家族構成、国籍
仕事の属性業界、役職、勤務地、職歴、年収
行動性格、趣味、好み、購買行動
ライフスタイル (平日、休日の過ごし方)、SNSの利用
価値観興味、欲しいもの (ウォンツ)
こうなればいいなと思っていること (ニーズ)

ペルソナとターゲットの違い

どちらもユーザー像を表すため、よく混同されるマーケティングの用語ですが、人物像の設定の深さが異なります。

ターゲットは、「20代の女性向け」「会社員向け」といったようなマーケティングで対象とする顧客のグループのことを指す用語です。

ターゲティングとは、ニーズや性質ごとに顧客をいくつかのグループに分けてセグメンテーションし、どのグループ(層)の顧客を狙うかを定めて顧客を絞り込むことを指します。

市場規模や競合との差別化戦略など、顧客を「マクロ」な視点から分析することに長けています。

しかし、例えば、「20代の女性」というセグメントでは、あまりに広すぎて、製品開発やプロモーションが漠然としてしまいます。

そこで登場したのが、ペルソナマーケティングです。

ペルソナマーケティングでは、ターゲットの属性である「20代の女性」にさらに、「都内在住」「毎週、ヨガに通っている」「SNSはインスタとLINEを利用する」といった細かい設定を加えて架空の人物像を脚色していきます。

ターゲットとしたい顧客は誰なのかを、徹底的に分析して洗練させ、顧客像を誰が聞いても具体的にどんな人なのかイメージできるようにしたものがペルソナです。

ペルソナ設定のメリット-マーケティングの良質な意思決定と投資を実現する

ペルソナ設定のメリットを整理してみましょう。

ユーザー視点に立てる

ターゲットを擬人化して、詳細にその人のプロフィールを設定すると、ユーザーに対して親近感が湧いてきます。

すると、その架空の人物が、購入したり使用したりするシーンをリアルに想像することができるようになり、顧客の具体的なイメージを持ち、ユーザー視点で商品・サービスをデザインすることができます。

チーム同士で共通認識を作れる

ディレクター、開発、デザイナー、営業など、関わる人同士でAさんのプロフィールの共通認識があれば、「これってAさんぽくないよね」といったような言語化しにくいターゲットの顧客のイメージが統一され、ユーザーの共通のニーズを汲み取ったマーケティングの戦略をチーム全体で意思決定しやすくなります。

ユーザー・消費者から共感を得る開発ができる

ペルソナを設定してたった一人のために製品・サービスを作りこむことで、逆説的なようですが、多くのユーザー・消費者から共感を得てヒット商品が生み出されてきました。

あるペルソナにフォーカスして、ライフスタイルを徹底的に追求していかないとみえてこない、そのユーザーの本当のニーズが浮き彫りになるために、結果的に多数のユーザー・消費者から共感を得られるのです。

逆に、ターゲット層を広く設けたマーケティング戦略では、「万人受け」はするがパッとしない、といった製品やコンテンツが仕上がり、共感が薄れてしまう、ということがよく起こります。

ペルソナを設定する方法

ユーザーが多様化した現代において、「どんな人をペルソナに想定するのか」という問いは、想像よりもずっと難しいのではないでしょうか。

ペルソナをむやみに設定してしまったことで、逆に、消費者の共感を失い、結果的にマーケットを縮小してしまうという現象が実際によく起こるのです。

そのような背景からか、「マーケティングにペルソナを使うのは古い」といったネガティブな論調の記事も散見されるようです。

そうならないために、正しいペルソナ設定の方法をみていきましょう。

STEP1:徹底した情報収集を行う

ペルソナを的外れなものにしないために、近年では、市場調査や既存顧客の実データに基づいたペルソナ設定の重要性が叫ばれています。集めることができるあらゆる情報を収集しましょう。

過去の販売データ・顧客データ

これらは、顧客の豊富な情報源です。どんな人が買っているのか、どこで情報を手に入れたのか、どこで購入したのか、などの情報が詰まっています。

市場調査

業界全体の動向や競合の傾向をみていきましょう。既存の製品は、どこのターゲット層に支持されているでしょうか。市場自体の規模はどうでしょうか。

STEP2:情報を整理する

情報収集したデータの中から、きらりと光る、ペルソナの属性や好みを導き出すために、情報に優劣をつけていきます。

情報にスコアリングを行ったり、低、中、高といったような3段階評価をつけたりするとよいです。

情報を整理すると理想のユーザー像としてふさわしいターゲットの属性情報があぶり出されてきます。

STEP3:インタビューを行う

ここまでまとめてきた情報はあくまで事実に基づく「仮説」です。誤ったペルソナを設定することを避けるために、実際のユーザーにインタビューやアンケートを行なって、仮説検証を行いましょう。データからは見えなかった要素から、本当にその情報や分析は正しいかどうかが浮き彫りになるはずです。

その人たちの生態系や、最もシェアの多い顧客がどんな人たちなのか、一部のペルソナがもつ特異性など、数字だけではみえてこない定性的な傾向を抜け漏れなく捉えるようにしましょう。

ペルソナを設定する際の注意点

定性調査と定量調査を両方行う

ペルソナを設定するとは、たったひとりのユーザー像を作り上げることであるため、本質的には顧客の絞り込みを伴っているといえます。

そのため、絞り込みが的外れであると、成功確率が大きく下がってしまいます。

主観的なイメージが介入しやすい定性情報だけで、ペルソナを設定しないようにしましょう。定量調査を行い、客観的な分析することによって、成功確率の高いペルソナを作り上げることができます。

BtoBの場合は決裁者が誰なのかを軸に考える

BtoBでは、ペルソナ設定に組織の論理が加わることになります。

例えば、どれだけ担当者に良い印象を持ってもらっても、所属する組織の課題、その人の決裁権、事業の状況などが大きく影響することがあります。BtoBの場合には、決裁者が誰なのかを軸に考えましょう。

メディアとプロダクトのペルソナ論の違いに注意する

ここでの説明は、以下のペルソナを想定して説明します

  • Aさん
  • 女性
  • 35歳
  • 既婚
  • 都内勤務
  • カリフォルニアに移住予定
  • 夫 35歳
  • 小学2年生の女児一人
  • 3年前からサウナにハマっている
  • 半年ほど前から目尻の小じわが気になり始めている

メディアのペルソナの場合

メディアは、多様な人々に対して多様なコンテンツを提供できるポテンシャルがあるため、ペルソナの条件が多いほどターゲットが広がります。

メディアのペルソナの場合、一部のペルソナの条件にしか合致していなくとも共感性を失わない

「30代、丸の内のキャリアウーマンがオススメする、朝のクイックシワ対策」

こんな記事はAさんのペルソナの条件にぴったり合致していて、受けそうなコンテンツですね。では、例えば、こんなコンテンツはどうでしょう。

「カルフォルニアの天才マーケターは同世代結婚をどう考えるか」

「現地人でも知らないカルフォルニアの韓国料理の名店」

いずれも、Aさんのペルソナの条件に一部合致してはいますが、完全な一致ではありません。

しかし、同世代結婚というキーワードに対してAさんは興味を引くだろうし、カリフォルニアに移住する予定であればカリフォルニアの名店も惹かれるのではないでしょうか。

このように、メディアのペルソナの場合、一部のペルソナの条件にしか合致していなくとも共感性を失わない、ということがいえます。つまり、メディアにおいては「ペルソナの条件が多ければ多いほどターゲットが広がる」ということですね。

プロダクトのペルソナの場合

一方で、プロダクトのペルソナを考えてみます。

ここでも、例えばAさんのように、細かく、「年齢、既婚、勤務地…」といったようにペルソナを設定したとしましょう。

興味深いことに、この細かい条件を付与したAさんに対して、しわ対策化粧品のマーケティング戦略を打つと、ターゲットが局所的すぎて、自分のマーケットを縮小させることにつながります。

別に、30代も80代もシワには悩んでいるし、労働してる人もいれば、リタイアしている人もいますし、子供がいる人もいればいない人もいますよね。

プロダクトの場合は、共通したペインである「シワに悩んでいる」こと以外の条件が増え、USP (Unique Selling Proposition、「独自の売り提案」) やベネフィットと無関係なペルソナ条件を付与させていくと、消費者の共感性を失い、結果的にマーケットを縮小させるという現象が起きてしまうのです。

それを避けるために、プロダクトのペルソナ’は、プロダクト自体のUSPやベネフィットを中心に最大公約数的に設定しなければいけません。

今回ように、しわ対策の化粧品で戦略を打つならば

  • ママ友とのランチ会をきっかけにエイジングを意識し始め、しわに悩んでいる
  • 元々美容意識が高く、しわに最も良い商品を常に探している

というような設定がよいと考えられます。

市場規模 = (ペルソナやその同様人物の数)×利用意向×メンタルアカウンティング

であるため、消費者の共感性を失うということは、利用意向やメンタルアカウンティングの数値が悪くなってしまうために、結果的に市場規模の縮小が生じてしまいます。

プロダクトにおいては、ペルソナの条件を多くすれば、ターゲットが広がったり縮小したりすることを考慮に入れた上で、むやみにペルソナの条件を足すことによって市場を喪失しないように注意しましょう。

ペルソナの成功事例 – MEN’S TBC

メンズエステのMEN’S TBCは「三軒茶屋のワンルームマンションに住む都内のA学院大学に通っている20代前半の男性」のようにペルソナを設定して成功した事例です。

  • 世田谷区三軒茶屋のワンルームマンションに住んでいている
  • 夜は麻布にあるバーでアルバイトをしている
  • ヘアケアやボディケアは安いだけでなく原材料・品質にもこだわっている

といったペルソナを設定しました。

ペルソナを分析してコンビニを中心に男性向けのコスメティックを販売するマーケティング戦略をとり、MEN’S TBCの認知度を上げることに成功しました。

このようなユーザー視点のブランディングによって、問い合わせ数が3〜4割アップしたようです。

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マーケティングコンセプトとは、文字通り、マーケティングをする上での考え方のことで、時代とともに大きく変遷してきました。マーケティングの考え方が登場した18世紀から現在までに生み出されたコンセプトは大きく5つに分類されます。本記事では、顧客のニーズを満たし、売上を伸ばし、利益を最大化し、自社を成長させるための5つのマーケティング・コンセプトをその変遷の歴史とともに紹介します。

マーケティングコンセプトとは?

マーケティング・コンセプトとは、マーケティング全体を貫く考え方のことです。

マーケティング」という言葉が認知され始めたのは20世紀初期頃からと言われていますが、マーケティングの考え方自体は、18世紀後半には存在していました。

1776年、アダム・スミスは国富論にて、「生産者のニーズは消費者のニーズを満たすことにおいてのみ考えられるべきだ」と、現在のマーケティングに通ずる考え方を示しました。

それから現在にいたるまでの200年以上の間、広告、宣伝、販売などのあらゆるマーケティング活動は、企業が魅力的な製品を生み出して顧客のニーズを満たし、売上と利益を最大化させるように進化してきました。

時代背景や経済に影響されながら変遷してきたこのような活動の方向性こそが、マーケティング・コンセプトです。

マーケティング・コンセプトは以下の5つに分類されます。それぞれのコンセプトについて見ていきましょう。

  1. 生産志向
  2. 製品志向
  3. 販売志向
  4. マーケティング志向(顧客志向)
  5. ソーシャル・マーケティング志向(社会公共志向)

プロダクトアウトとマーケットインの歴史

マーケティング・コンセプトを理解する上で、まず初めに知っておいていただきたいマーケティングの基本概念が、「プロダクトアウト」と「マーケットイン」です。

プロダクトアウトは企業視点、マーケットインは顧客視点を重宝して施策が展開される

プロダクトアウトとは?

プロダクトアウトとは、企業の技術や思想、感性などを優先して、企業の作りたいもの、作れるものを基準に、「企業目線」で商品開発や生産をすることを指します。

18世紀後半、産業革命以降、まだ世にモノがあふれていない時代、作れば売れる状況が続き、大量生産を強みとする「作ってから売り方を考える」というプロダクトアウトの考え方で産業・市場は成長してきました。

しかし、1970年代以降、モノが行き渡るようになり、市場は成熟し、顧客のニーズをなおざりにした、作り手本位のサービスや商品は受け入れられなくなりました。そこで、登場したのが「マーケットイン」の考え方です。

 マーケットインとは?

マーケットインとは、プロダクトアウトと対になる概念で、顧客の声やニーズに重きをおいた「顧客目線」の商品開発や生産のことです。

近年のあらゆる市場が直面している供給過剰で「モノが売れない」状況では、いかに「マーケットイン」に基づいて、顧客の求める商品・サービスを提供するか、という視点を持った商品開発や生産が求められています。

プロダクトアウトの考え方では商品・サービスに適した顧客を見つけることが目的ですが、マーケットインの考え方では、顧客に適した商品を提供することを目的とします。

プロダクトアウト:生産者中心の時代

18世紀後半、産業革命の幕開けとともに、最初に覇権を握ったのが、「プロダクトアウト」を基本とする、企業目線のマーケティング・コンセプトです。

日本では、よく「プロダクト・アウト=悪」の構図で説明される場合が多いですが必ずしもそうではありません。例えば、イノベーティブな製品を世に送り出すのが得意である、市場が未熟で製品が出回っていないなど、現代でも場合によっては効果的なアプローチです。

むしろ、マーケティング戦略を考える上では、顧客目線と企業目線を両方持っておくことが重要です。

生産志向

生産志向は、製品を「広く、安く、出来るだけ多く」生産することを重視する考え方です。

日本では戦後の1950年代から高度経済成長期にかけて、メーカー主導で「大量生産」を基本とする生産志向の販売戦略が取られました。

この時代、市場は未熟で、モノは不足していましたが、その分消費に伸びしろがあり、市場は急成長していました。このような、供給が不足しており短期間での成長が期待できる市場では、生産志向のような生産力を拡大する戦略が有効です。

生産志向の例

Amazonや小売店には中国製の安い商品があふれています。中国は生産拠点を主要都市に集中させ、労働生産性をあげ、製品を大量に生産しています。

そのため、例えば、中国製のスマートフォンなどを見ても、価格帯の低いものが多く、世界中に広く普及しています。生産志向を得意とする企業は、大量生産のスケールメリットによって生産・製造を合理化する「安く、どこでも手に入る」ことを競争優位性とします。

製品志向

1970年代、日本では高度経済成長が終盤を迎え、SONYやホンダなどを筆頭に、企業は高い技術力や優れた製品を市場に提供するようになりました。モノがあふれ始めると、消費者はしだいに製品同士を比較してより良いものを求めるようになります。

この段階で、高品質、高性能、多機能、よいデザインなど、より優れた製品を提供することにフォーカスする製品志向が登場しました。企業は、継続してよりよい製品を作り、改善することを最優先に行います。

製品志向の例

Appleは、2001年に「iPod」、2007年に「iPhone」を発売するなど、顧客が想像もしなかったような、革新的な製品を世に送り出し、世界で初めて時価総額1兆円を超える企業にまで成長しました。

Appleの製品のように、高品質で革新的な商品・サービスを提供してレビューや口コミで高評価を得られるようになれば、広告費に多額のコストを注入する必要がありません。

企業視点のプロダクトアウトの思想が生み出した製品がときに爆発的に世界中の市場に浸透し、会社を成長させることがある好例です。

よい製品を提供することはマーケティングの最も基本的なことの一つです。しかし、たとえ技術があるからといって、例えば、今の時代に最高品質のフロッピーディスクを開発するのはよい戦略でしょうか。

顧客が求めているのは小さくて容量も多いUSBフラッシュドライブならば、どんなに高機能のフロッピーディスクを完成させても全く売れない、という事態が発生しかねません。過度な企業目線の製品志向にはリスクがあることを忘れてはいけません。

販売志向

需要に対して供給か過剰になると、単に優れた製品を作ってもモノは売れなくなります。この段階で、必然的に「いかに販売するのか」を考える必要が出てきました。

販売志向は、積極的に大規模に販売を行い、そのよいところを訴求することでプロダクトを購入してもらう方法です。

注意すべき点として、この販売志向は、その商品・サービスが顧客のニーズやウォンツに沿っている必要がないということです。

つまり、企業の都合で生み出された、顧客が必要としていない製品を、よいところを訴求してとにかく買ってもらうことにリソースを注ぎ込む、企業本位の戦略になりかねないアプローチであるともいえます。

 販売志向の例

献血や保険といった、顧客に対してメリットが必ずしも無かったり、リスクを追う可能性があったり、といったサービスは、むしろ大規模に広告や宣伝を行わなければ、顧客が進んで利用しないことが多いと考えられます。

このようなサービスをマーケティングするときに、この販売志向は非常に強力な戦略となります。

マーケットイン:消費者中心の時代

昨今のように、モノは簡単に手に入り、市場は飽和し、消費者の消費行動が多様化した成熟した資本主義経済では、会社側の都合で作った製品を売る「プロダクトアウト」では、顧客を獲得することが容易でなくなってきました。

代わって登場したのが、顧客のニーズやウォンツを調査し、顧客の求めるサービスを提供する消費者中心の「マーケットイン」の考え方です。

マーケティング志向

販売志向のように、大規模に販売活動を行なったとしても、本当に求められていない製品を売るのには限界があります。そこで登場したマーケティング志向は、「ターゲットのニーズやウォンツ」を意識し、競合よりも優れた価値(競合優位性)を提供することに焦点を当てるコンセプトです。

米国で1950年代以降に登場し、それ以降マーケティングの考え方は日本に広く浸透するようになりました。

多くの企業が、消費者を理解するために努力し、最高の製品やサービスを提供しようとするようになり、マーケティング志向はビジネスの基本的な考え方として定着し、21世紀に突入しても依然中心的な役割を占めています。

マーケティング志向の例

ペプシとコカコーラは、コーラという全く同じ製品を扱いますが、異なった戦略をとって共存しています。

例えば、ターゲット一つとっても、ペプシは、若い世代を獲得することに焦点を当てている一方で、コカコーラは、より幅広く顧客を集めることに注力しています。

競合のとっている戦略を後追いするのではなく、綿密な顧客や市場調査に基づいて、自社に最適なマーケティング戦略を考えることが大事になってきます。

時代は社会的マーケティング志向へ

日本に導入されて50年以上たっても主流の考え方であったマーケティング志向は、近年、第5のより洗練された志向、すなわち「社会的マーケティング志向」へと進化しようとしています。

社会的マーケティングの概念は、ソーシャルマーケティングとも呼ばれ、顧客だけでなく、社会全体に価値を還元しようとするマーケティングのことを指します。

モノが簡単に手に入り、誰もが物質的に豊かになった現代では、環境悪化、資源不足、人口増加、貧困などの社会的な課題にビジネスが貢献できているのか、むしろ悪化させているのではないか、と疑問を持つ人が増えています。

このような状況から、企業は利益を追求するだけではなく、「長期的な目線を持ち、社会に還元すべき」だという社会的マーケティング志向が広まってきています。

社会的マーケティング志向の例

明治時代に出版され100年以上読み継がれた渋沢栄一の「論語と算盤」には、「本当の経済活動は、社会のためになる道徳に基づかないと、決して長く続くものではない」とあり、社会的マーケティングと同じような考え方がすでに示されています。

また、同時代「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」がよい商売のあり方であるという「三方よし」という言葉も生まれました。

先が読めず、社会的な課題の解決が待ったなしの21世紀だからこそこういった考え方は再注目されるようになり、多くの企業が、CSR(企業の社会的責任)を考え、企業として「利益を追求するだけでなく、経済、環境など社会全体でのニーズを捉える」べきだという風潮が高まっています。

 販売志向とマーケティング志向の違い

ここまで、マーケティングコンセプトの変遷を見てきました。本記事の最後に、一見すると、よく似た概念のようにもみえる、販売志向とマーケティング志向の違いを見てみましょう。

比較-販売施工とマーケティング志向にはいくつか違いがある

大きな違いは、企業目線か顧客目線か、です。

販売志向は、どれだけ売るかを突き詰めますが、企業目線が行きすぎてしまうと、どれだけ販売に力を入れても、顧客が本質的に求めていない商品・サービスは売れないというリスクがあります。

マーケティングは、必要とあればもちろん販売に力を入れ、よい商品・サービスを提供しようとしますが、その際にも必ず顧客のニーズや市場を調査し、それに基づいた販売する、顧客目線の考え方です。

常に顧客に寄り添うことこそが、成功の鍵であると考えます。

マーケティングコンセプトまとめ

いかがだったでしょうか。マーケティングコンセプトを考えることは、ひいてはそのビジネスが顧客や社会に何を還元できるのか、を考えることに繋がっていました。マーケティング戦略は企業の在り方をも決定づけてしまいます。

消費行動が多様化し、市場が常に変化し続けている現代だからこそ、マーケティングの方向性を決定するマーケティングコンセプトを今一度考えたいですね。

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